父方の祖母の遺品の片付けをしました。祖母は若い頃は教師を務めていたしっかり者の知的な女性で、持病の先天性心疾患の治療で心臓外科に通いながらも、70歳をこえるまで婦人会の活動にも積極的、旅行することも多いお洒落で活発な人だったのです。85歳頃から少しずつ痴ほうの症状があらわれ、本人も自分の意志がはっきりしている生前のうちに、遺品整理したかったようなのですが、なかなかできなかったようです。100歳をこえて祖母が亡くなり、遺品の片付けを始めたのですが、家のあちこちから祖母の私物が出てきました。
それも通常では収納しないような場所からです。タンスの上の奥に洗濯していない服が積まれていたり、お金にかかわる判子類や書類もバラバラで引きだしの中にあるかと思えば、金庫の中の紙の箱にあったり。使われていなかったハンドバッグの中の財布には、お金や家族の写真が入っていました。痴ほうの症状が出た時期に、本人が片付けようと思いつくとあちこちに置いては忘れ、場所を移動させてバラバラになってしまったようです。
しっかりした人だったので、家族もあまり口を出していなかっことが一因です。そのため亡くなってからの遺品の片付けは、想像していた以上に大変になりました。お洒落だった祖母の服も洗濯しない、汚れた状態のまま隠されていたので着られないものがほとんど。着られる服や使えるバッグ類は親戚に配ったり、町のチャリティーで配布して片付けたのです。